間違いだらけのPACS選び 2009.2.5
CTの更新を考え始めた当初は、別項でまとめましたようにレーザーイメージャーの継続使用が出来ないのでDICOM対応のドライイメージャーへの買い替を考えた時期もありました。しかし、CR導入、フイルムレス診療への移行と大きく方針転換しましたので医用画像ファイリングシステム(PACS)の導入を考える必要が出て参りました。小診療所ではありますが院内各部署で画像閲覧を行うことが可能なPACS構築を模索し何とか実用に至りましたのでその概要をまとめてみました。
システムの選択
1.薬事承認機である診断用ビューアとしてのI-PACS EXシステムを採用するにあたり、このたびは出費を抑えたい面もありモニタは安価な17インチでのシステムを採用しました。高価格ではありますが医用画像表示規格に準拠した2Mモニタを組み合わせるのが正式、王道ということについて今更異論等申し上げるつもりはありませんが、CT,CR同時導入等の出費を考え2Mモニタより遥かに安価な17インチモニタを選択しました。このシステムでも一応薬事承認機種であります。
I-PACS EXにはWEB参照機能があり、本体以外の5ヶ所のパソコンで画像参照が出来ます。
このWeb参照機能は各パソコンに本体サーバとの接続設定が必要となりますが、CONQUESTのWeb参照機能(別頁参照)と違い本体と全く同じ画面、機能で画像参照が出来ます。この機能はCR選びでフジよりコニカを選択した大きな要因の一つでもあります。クライアントが5ヶ所あれば当院各部署でコニカ専用でないパソコンでの画像参照が可能となります。
I-PACS EX WEB参照画面
他社製のPACS導入は価格の点で検討外としました。ちなみにコニカ場合はモニタを除いた見積もり価格は(HD250MRAID構成)で70数万円でした。HD容量が不足の場合には10万円位の市販の外付けRAID装置の取り付けも可能とのことで500G,1T型もありますが価格面から250M型としました。
運用開始後3ヶ月でのHD使用容量は約16G(9%)で、 一ヶ月のHD使用容量が最大記録容量の約3%ですので2~3年後には増設が必要となりそうです。
2.薬事承認問題を無視すればDICOMサーバとしてCONQUEST、ビューアとしてK-PACSの各々フリーDICOMソフトでの運用がもっとも安価なPACSとなりますでしょう。(ソフト代は無料)
その他のDICOM送受信可能なフリーソフトも試用してみましたが、私のスキル不足からインストールに失敗したり起動不能があったりして唯一うまく動いたのがCONQUEST&K-PACSコンビでした。
現在CONQUESTは安価となった1THDをRAID1構成で稼動させておりますので、こちらは当面容量不足の心配はないでしょう。
3.現在では診察室での患者説明画像は次に述べるRs_Baseの使用が主役となり、上記2機種はバックアップサーバ&ビューアと位置付けております。
CT,CR本体故障を除いてのサーバ、クライアント機器のソフト&ハード故障の際でも必ず画像閲覧が可能な安心システムとなっております。
ちなみにハブ故障に備えて24、8ポートハブ(1000M)を予備装置として購入しております。
I-PACS EX のCD-R(PDI規格)作成機能
I-PACS EXのCD-R作成機能については一つ問題点があります。
一枚のCD-Rには異なる検査は2検査までしか書き込みデキマセン。
CT,CR等が複数日の渡り検査してありますと2件検査日までしか書き込み出来ず、コニカミノルタの担当者に質問しても開発中との返事しかもられておりません。多くはありませんが症例によっては経過観察した全ての検査所見の添付をしたいときには大変不都合です。
現在はこのような場合にはK-PACSでのCD-R作成を行っております。
ーー>その後のメーカー担当者の説明を受けましたところ、CD-R作成に際して撮影画像を一括して書き込み作成するのであれば、検査件数に関係なく複数検査画像をCD-Rに焼きこむことは可能であると判明しました。
一つの検査で得られた多数枚のCT撮影画像などから不要な画像を除いてCD-Rに焼きこむ操作が必要な場合には件数が限定されるが、普段私が行っているように検査画像を(CT,CR)選択削除操作などしないで全て焼きこむ場合には何件でも焼着込み可能と判明しましたので現在は大変便利に使用しています。
(2009.7.7 追記)
バックサーバ設置、フイルムレス試験運用のオススメ
CONQUEST&K-PACSのシステムは一般の診療所や病院でも万一の際の非常用システムとしても大変役立つと思います。
CR,CT、MR等のDICOMモダリティーと現用システムと併用接続して常時運転させておけば万一の際のDICOMデータ保存、閲覧機能保持といったバックアップサーバとして大いに役立つでしょう。
当院の近くの施設でも専任放射線技師が居ながらDICOMサーバの故障にも気づかず画像保管を続けたため検査データを逸失し、多額の費用をかけて復元を試みたが全データの完全回収は不能となった事故があったように聞いております。現在DCOMサーバ3系統機を併用運転としており大変「モッタイナイ」感はありますが、ハード、ソフトの費用は最小限で済んでおり、「石橋を叩いても画像データ保存」を第一としております。
また、DICOM仕様のCTやCRを導入しておられてもフイルム運用の施設の方にはCONQUEST&k-PACSでフイルムレス運用の醍醐味を経験していただくことも出来ますのでお試し下さい。専用バックアップサーバ設置を否定するわけではありませんが高額な出費をしなくてもデル等が決算期などに行うセールを狙えばサーバ(1TBHD、RAID)を格安の数万円で購入可能ですので、万一の際のDICOMデータ消失、診療停止を避ける手段の一候補にはなるかと思います。